Discovery

「平成の大改修」もうひとつの物語

富士屋ホテルは幾度となく繰り返された改築により、インテリアや設備などが更新されてきました。当時を思い出すことのできる品々とともに、今回の改修により経営資料や書簡も新たに発見されました。
さらに改築まで至らなかった建築計画や図面なども発見され、歴代の経営者たちがより良いホテルにするために試行錯誤した様子が判明しました。

peach-colored WALL桃色

西洋館の桃色の漆喰壁

西洋館の客室は現在、白い室内となっていますが、今回の改修で表面の壁材をはがしたところ、竣工当時の壁が発見されました。
改築が少ないと思われていた西洋館の内装が改築されていたことにも驚きましたが、当時の壁が桃色の漆喰壁であったことは、端正な外観とのコントラストという意外性も感じさせ、ホテル建築の奥深さが感じられます。

西洋館の桃色の漆喰壁

西洋館の桃色の漆喰壁

Unperformed Plan

幻の建築計画

富士屋ホテルの史料には大正9年頃に当時、経営を担っていた山口正造が大規模な建替計画を進めていたことが記録されています。しかし、この計画は世界的な不況や関東大震災などにより実現することはありませんでした。今回、戦後に描かれた多くの図面が発見され、記録に残されていた計画以外にも、歴代の経営者が幾度となく改築、大規模建替などを計画していたことが明らかになりました。これらの実現しなかった富士屋ホテル計画がいまの富士屋ホテルの礎になっています。

昭和33:フォレスト館新築計画初期案

昭和33:フォレスト館新築計画初期案

昭和33:フォレスト館新築計画初期案

昭和33:菊華荘建替計画

昭和33:菊華荘建替計画

昭和33:菊華荘建替計画

昭和39:大正9年建築群建替計画

昭和39:大正9年建築群建替計画

昭和39:大正9年建築群建替計画


昭和42:大規模建替計画Ver.1

昭和42:大規模建替計画Ver.1

昭和42:大規模建替計画Ver.1

昭和43:ハーミテイジ建替計画

昭和43:ハーミテイジ建替計画

昭和43:ハーミテイジ建替計画

昭和45:大規模建替計画Ver.2

昭和45:大規模建替計画Ver.2

昭和45:大規模建替計画Ver.2

ORIGINAL PICTURE原色

食堂の天井絵の原画

和洋折衷の食堂天井には日本アルプスの高山植物636種、蝶々238種、鳥507種が描かれています。
その原画の一部が今回発見されました。
また、壁面には十二支の彫刻が配されています。
現在、天井画はホテル全体の大規模改修に合わせ修復が行われています。天井一面の色彩の美しさと壁に施された彫刻の数々をお楽しみください。

食堂の天井絵の原画

食堂の天井絵の原画

COUNTER巻狩

旧ロビーカウンター彫刻の原画

ロビーカウンタ―側面には建久4年(1193年)5月に源頼朝が多くの御家人を集め、富士の裾野付近を中心として行った壮大な軍事演習「富士の巻狩」のレリーフがあります。この原画が発見されました。

MYTHOLOGY神話

富士屋ホテル彫刻のルーツは日本の神話にあり

富士屋ホテル創立当初の建物は宮ノ下の大火で焼失してしまいました。
そのため、その後建てられた建物には火除けを意味する装飾が至る所に造られていました。
「迷信」ともとらえられかねないこれらの日本の「習慣」や「風習」を外国人に知ってもらうため、動植物が多く登場する神話のモチーフをあちこちに施しました。
神話などの目に見えないものこそが日本人が求める本当に美しい姿であることを意味しています。

※掲載されているすべての完成予想CGは検討段階のもので、実際とは異なる場合があります。