Renewal

唯一無二を未来へ紡ぐ

山口仙之助が宮ノ下の地で創業した富士屋ホテルは2018年7月に140周年を迎えました。
明治、大正、昭和、平成という激動の時代を駆け抜けたホテルは数々の天災、さらには戦禍をくぐり抜けてきました。
様々な時代背景を持った建物群は今回、安全性、快適性の向上を目指し、全面的な改修を行うこととなりました。
改修にあたっては、長年にわたって積み重ねられてきた建物の特徴と価値を最大限に引き出せるよう維持と更新が行われます。
先鋭の技術によって、懐かしくもあり、新しさもあるホテルに生まれ変わります。

RENEWAL CONCEPT目標

FUJIYA ” 唯一無二を未来へ紡ぐ

改修、改築が行われてきた富士屋ホテルの建築群は時代に合わせた多様な顔を持っていました。そのため、文化的価値を優先した厳密な復原ではなく、これからの活用を前提としたゆるやかな復元を前提に今回の改修は行われることとなりました。
唐破風の玄関を抜け、お客様が非日常を感じながら、一方で日常と変わらない快適な時間を過ごすことができるような空間をご用意いたします。

OUTLINE of RENEWAL計画

変わらない景色、受け継がれる思い

初代・山口仙之助が宮ノ下の大火の後に造った本館と西洋館。さらに仙之助から富士屋ホテルの未来を託された正造が外国人客たちに日本人の心を示した食堂と花御殿。そして、戦禍をくぐりぬけ、接収という時代を経験した堅吉が築いたフォレスト館。これらは姿を変えず、機能性、安全性、利便性の向上を最優先とした改修が行われます。
また、これまでカスケードルームや温室などが並んでいた場所には、新館を建築する一方、皆様に親しまれたカスケードルームはそのままの姿でこの新館最上階に残されます。

Change 変えるもの|Not Change 変えないもの

CHIMNEY煙突

最後の煙突が消える日

かつて富士屋ホテルの暖房はすべて暖炉を使用していたため、建物には多くの煙突がありました。時代とともに煙突はなくなり、厨房から伸びる煙突が唯一のものでした。
今回の改修でこれまでの厨房を廃し、最後の煙突が消えました。これからは2つのキッチンから皆様にご満足いただけるお食事を提供させていただきます。

earthquake strengthening耐震化

現代が求める耐震性能

耐震化のため柱と柱の間に補強材を入れるほか、壁の中にブレースを入れるなど建物の雰囲気やデザインを考慮した現代の耐震技術が施されます。

HOTEL FURNITURE REPRODUCTION家具

ホテル家具の再生

ホテルで使用されている家具はほとんどのものが張替えなどを行い再び使用されます。
お客様とともに歩んできた年月がひとつひとつの家具に刻まれていることを確かめるように、いま再生への工程をたどっています。

CEILING天井

優雅な天井の復元

食堂棟のメインダイニング天井には数々の動植物が描かれていますが、雨漏りなどにより修復が必要となりました。今回の改修では文化財修復の職人たちの手により色彩豊かな絵の数々が美しくよみがえります。