食堂棟は富士屋建築のハイライト
関東大震災後、7年を経て初の大造営が食堂棟でした。鉄筋コンクリート造の1階が、木造の2階と塔屋「昇天閣」を支えています。良質な素材や細部の装飾には強いこだわりが感じられます。切妻の銅板葺き屋根や五重塔のような塔屋は、寺社風の意匠であり、高欄や壁の色使いも独特です。洋風で端正なそれまでの富土屋ホテルの建築とは一線を画し、新しい力強さを獲得しています。
正造は2階のメインダイニングルームを“THE FUJIYA" と名付け、「これこそまさにフジヤ」という強い思いを表現しました。